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〇 新しいパソコンを買った。



約4万円のノートパソコン。市場最安値レベル。


今まで使っていたパソコンを「自転車」に例えると、今回新しく買ったパソコンは「京王線の『特急』」並だ。安物のパソコンのはずなのに、実に使い勝手が良い。気づかぬうちに、世の中は随分とスピーディになっていたようである。




〇 配属先が決まった。



配属先は東京の某所。ただ、今までの仮配属場所ではなく、別の部署。

配属された部署は営業職。ただ、今までの仮配属先とはまったく異なる業務内容。企業は一つのカテゴリーを扱うにあらず。

今までの仮配属先を「水道管をがんばって大きくしていく仕事」とするなら、次のステージは「砂山から『何か』を作る仕事」だ。へたくそな比喩だが、わかる人にはわかるだろう(わからない人はお父さんに聞いてみてね)。




〇 彼女との結婚を少し本気で考えた。


配属先が正式に決まったことが大きいかも。彼女を東京に呼んで一緒に頑張りたくなった。彼女はいまだもって東京に抵抗感を示している。だけど、いずれ東京に来てくれる、と私は信じている。





〇 自分の時間が減った。



社会人全般に通じるのかはわからない。ただ、学生のころより、自分のためだけに使える時間、というのは減ったように思う。同時に、余暇の過ごし方に関しても、


会社に関係のあることに向けなければならない


という無言の圧力を感じるようになった。 これはある意味でかなり窮屈である。だが、ある意味ではかなり気楽だ。なぜならば、時間の使い方をあれこれ考えずに済むから。何もせずに終わる休日はあり得ないから。時折訪れる一人の時間をこれでもか!と愛せるから。



〇 言えないことが増えた。

 社会人になるための基本的なルールとして、



会社で起こったことはネットに書いてはならない



というのがある。


このことを意識すると、どうしても日記にかけることは制限されてしまう。だが、私が書きたいのは、会社の中で見つけた興味関心のタネであることが多い。当然といえば当然だ。ーーなぜって、会社の中で過ごす時間が一番多いんだから。



〇 新しく日記ソフトを買った


できる限り秘匿性の高いソフト。そして、日々の備忘録を記すのに適したようなやつ。


ブログ以外にも日記ソフトがあることは意外だった。でもまあ、今のご時世、たくさんのニーズに対応するモノがたくさんあるのだから、特別驚くには値しないのかもしれない。


今後はネットに公開せず、一つの日記にあまり時間をかけず、日々の記録に重視した内容を書いていきたい。





















ーーというわけで、思いつく限りの理由を挙げさせてもらった(結果と要因の位置づけがかなりデタラメだけど笑)。




本当は、もっともっとたくさんの理由があると思う。けど、いま思いつくのはこれくらい。



何の理由かは言わなくてもいいだろう。




長い間、このブログには大変お世話になった。まあ、あんまり感傷的なのは好きでないので、簡単に失敬させていただこう。また戻ってくるかもしれないしね。






ところで、この日記を一度でも読んだ人は、必ず幸せになるでしょう。ワタシはそう思います。根拠は一億万個ほど用意していますが、その説明は次の機会に(えへらえへら)








ではでは、ごきげんよう。












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口を開いてすべての疑いを晴らせてしまうよりは、黙っていて馬鹿ではないかと思われていたほうがいい。

エイブラハム・リンカーン



恋というのは一つの芝居なんだから、筋を考えなきゃだめだよ。

谷崎潤一郎






8月12日。夕刻。


雨が降る中、私は電車に乗り、寮から新宿駅へ。


新宿駅に到着するやいなや、私は併設されている小田急百貨店へと向かった。


(さて、何を購入しようか……?)



特に買いたい品物が定まっていないまま、小田急百貨店内を1階から順々に登っていく。


(――各フロアをしらみつぶしにのぞいていけば、そのうち、何を買ったらいいのか思いつくはず)


この百貨店には、世界中の人々の需要を満たすものがずらりと詰め込まれている。そのため、最上階に到着するころには、買うべき品物が定まっているだろう――そう期待しながら。







――



(……全然決まらんぜよ)


何も決まらない10階まで到着してしまった。すると、10階には我が聖地である三省堂を発見。私は


(小休憩小休憩♪これはあくまで客観的な判断だが、少し休憩したほうが、何を買ったらいいかひらめきやすくなると思われる)

と適当な言い訳を自分に言い聞かせながら入店。それまでのフロアとは違い、時間を忘れるくらい、好奇心が刺激される時間を過ごす。



――



1時間ほどし、私は、あわてて腕時計に目をやる。時はすでに17時を回ろうとしていた。



(いかんいかん、本来の目的をすっかり忘れてしまっていた)


私は三省堂をでる。そして、


(再び1階から順に登って、買いたいものを探しに行こうか?それとも、別のところで探そうか?)


そこで立ち往生するのであった。



――ところで、この日の私の探し物、それは、


来月に訪れる彼女への誕生日プレゼント


である。いや、もっと正確に言うと


来月に訪れる彼女の誕生日は、仕事の都合で会えないため、翌日8月13日の「真ん中バースデイ」の時に渡す彼女への誕生日プレゼント


である。(長々と失敬)


「真ん中バースデイ」とは、その名の通り、


2人の誕生日の中間の日に、2人の誕生日を同時にお祝いをすること


真ん中ばーすでー


である。




この真ん中バースデイを提案してきたのは彼女であった。なんでも、彼女が昔読んでいた「こどものおもちゃ」という少女マンガに、この真ん中バースデイが取り扱われていて、ふとした瞬間に思いだしたのだという。


私の誕生日の日もB嬢の誕生日の日も、お互いの休暇が会わなかった。そこで、二人の休日が一致する

8月16日

を真ん中バースデイとし、この日に二人の誕生日祝いをしようということになったのである。(※1)(※2)


(※1)なお、私の誕生日は8月2日で、B嬢の誕生日は9月上旬である(プライバシーのためあいまい表現)。そして、 厳密に言うと8月16日は真ん中ではない。だが、細かいことにこだわらないのが我々のいいところである。これ、パートナーと長く付き合うための秘訣よ(シッタカ)


(※2)すでに述べているように、私の誕生日は8月2日(土)である。つまり、すでに誕生日はすぎ、25歳のいいおじさんになっている(ぱちぱち)。 ちなみに、8月2日(土)は彼女が仕事だったので、私は一日の大半を独り喫茶店で本を読んで過ごした。むろん、ケーキなど食べるはずもない。まあ、この歳になれば、今更ケーキを食べなくても平気になってしまうものであるが。なお、 私の誕生日はあまりにも内容がなさすぎたので、8月2日は日記を書かなかった。






さて、彼女への誕生日プレゼントとして何を用意したらいいのかわからず、上述のように、私はとりあえず新宿駅の小田急百貨店に行ったのであった。だが、結局めぼしいものを見つけることができず、困り果てることになっていたわけである。


さて、この段階に来ると正直、

(……プレゼントなんてもうなんでもいいかなあ)


なんて思い始めていた。


……しかし、私はふと、


先月末の会社の飲み会のこと


を思いだす。そして


(……いかんいかん、もっと真剣に考えないと)


と自分を戒め、今度は新宿ミロードと呼ばれるショッピングモールへとプレゼントを探索しに行った。 外はすでに薄暗くなっていた。


――



話は少しさかのぼり、先月末のこと。

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この日の夜、私は会社の先輩約10人とともに、おしゃれなビールバーで飲み会に参加していた。なお、この日の飲み会は、ある目的を持って催されていた。それは、


私が配属されている支店のマドンナの誕生日会


である。


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 今日の日記とは特に関係ないが、問題が起きない程度にマドンナの情報を記しておこう。

性別:女性

年齢:30前

容姿:年齢を感じさせぬ若々しさ。派手なドレスよりも和服が似合う感じ。(多分)

性格:穏やかで、常にホンワカとした雰囲気を漂わせている。時折ドジッコのようなふるまいを見せる。



 一言で言うと、男心をくすぐる要素がたっぷり詰まった女性といった感じである。まあ、私のような若造のペーペーにこんな風に言われる筋合いはないだろうが。 ちなみに、年配社員の方から若手社員の方まで幅広い人気であり、人気投票では常に1位にランクしてくる。


なお、御多分にもれず、私もマドンナが好きである。だって優しいし、きれいだし――。……ただ、僕にはB嬢という素晴らしい女性がいるので、仮にマドンナから言い寄られても、やはりお断りしなければならないのは辛いところではあるが(ワライ)



――さて、そのマドンナの誕生日の飲み会。新入社員と言うことで、マドンナのとなりに座るよう、先輩から指示を受ける(喜ばしい半面、個人的にはあまり飲み会では目立ちたくないので、マドンナの隣には座りたくなかったのだが)。


――


「マドンナさん、誕生日おめでとうございます」


マ「ありがとう(笑)。あれ、そういえばどですかでん次郎君は誕生日いつだっけ?」


「僕は8月2日です」


マ「あ、そうなんだ!じゃあ、もう近いんだね。どう過ごす予定か決まってるの?」


「いえ、特には(笑)おそらく、独りで喫茶店に行ってぼんやりすごしたり、クリーニング屋さんとかから届く『誕生日おめでとう半額キャンペーン』的なやつをフル活用して過ごそうかな~って思ってます」


マ「え~それでいいの?(笑)彼女さんとは一緒に過ごさないの?」


「そうです……ね。彼女さん(私は人前ではB嬢のことを「彼女さん」と呼んでいる)は仕事なので。それに、距離も離れているので、わざわざ誕生日のためだけに会いに行くのは大変だし……」


マ「え~会いに行きなよ!彼女さんきっとどですかでん次郎君が来てくれるの待ってると思うよ?うんうん」


「そうなんですかね……」


マ「私だったらうれしいかな~って思うけど!うんうん」


「そ、そうでしょうか(えへらえへら)」



……余談だが、マドンナはしばしば語尾に


うんうん


とニコニコしながら声に出していう。この破壊力はなかなかすさまじく、これにキュンとしない男はいないといわれている。なお、私はこれを


相槌の記号的表出


と呼んでいる。なお、この「相槌の記号的表出」は、しばしば朝ドラなどの天真爛漫系ヒロインが、自分に何かを言い聞かせるときや、幼い子供を諭すシーンなどで使用していることでおなじみである。女性の皆さん、ぜひこの技法を真似してみてほしい。女子力が5~6くらい上がると思いますよ(知らんけど)。



「喜んでくれたら嬉しいですけど、やっぱり今回はやめておこうかと思います。すみません」

マ「そっか――それじゃあ、彼女さんの誕生日はいつなの?」


「9月なんですよ」


マ「あ、もうすぐだね!彼女さんの誕生日はどう過ごすの?どですかでん次郎君が会いに行くの?」


「え?まだ決めてませんけど……。どうしたらいいんでしょうかね(笑)」


なお、真ん中バースデイに関しては説明するのがめんどくさかったので省略。でも、こういったときにちゃんと説明したほうが先輩とのコミュニケーションも円滑になるのかな、と今思った次第。


マ「それなら、まだ時間あるからしっかり考えてあげないとだめだよ?うんうん」


「そうですね……がんばります」


そう力なく言うと、突然、とある先輩社員(男)が


先輩男「こいつはだめ。もうひどいもんだよ!」


という。


マ「何がひどいんですか?」


「いやいや(苦笑)」


先輩男「デートの計画は自分で立てないで彼女に任せっ切りだし、デートしたらデートしたで自分ばっかり楽しんで彼女を楽しませようってことを全く考えないし――」


実は、この男先輩とは、もう何度も飲み会に行っている。そして、その飲み会で彼女と私とのやり取りを話すことが何度かあったのである。


ちなみに、上述の男先輩が言っていることは半分あたっている。だが、いささか偏見が混じっているので整理する必要がある。


・デートの計画は彼女に任せっ切り

・自分ばっかり楽しんでいる

・彼女を楽しませようってことを全く考えていない


というのは


・デートの計画はB嬢が率先して立てている

・彼女が立てたプランを私はとても楽しんでいる。

・彼女を楽しませるためにこんなことをしたんです、っていうのは恥ずかしいし、男としてなんとなくかっこ悪い感じがしたので、先輩(男)にあえて言わなかっただけ。


と置き換えることができる。むろん、これはあくまで私の解釈であり、B嬢がどうとらえているかは不明である。答えはB嬢のみぞ知ることである。



――なお、この後、飲み会はなぜか私の


私の男としてのふがいなさ


に焦点が絞られることになっていくことになる。ここら辺は記すと長くなるし、何より自分で自分の心を痛めているような気がするのでやめておく。


ともかく、私へのヘイトスピーチが続いた結果、 飲み会に参加していた先輩方から


「俺がお前の彼女だったら絶対にわかれてるわ」

「男なのに計画を立てないのは無いだろ」

「男としてというより、人として最低だな」

「俺にお前の彼女を会わせる機会を設けろ。『世の中にはもっといい男がたくさんいる』って諭してやるから」



と言われる。そして、ついにはマドンナからも


マ「今の彼女さん、よっぽど懐深いんだね。あ、もちろん、どですかでん次郎君がダメだって言ってるわけじゃないよ?うん、うん」


と言われる始末。なお、温和なマドンナだからこのようなオブラートに包んだ言い方をしているのだろうが、心の中を想像したら……恐ろしくなる。


――ただ、この時の私の心境としては


(先輩のみなさんよ、あなた方が私を評価する際に参考にした情報というのは、他でも無く「私自身」から発せられた言葉なんですよ?その言葉には、どこまでB嬢に対する「敬意」と自分自身への「自虐」が含まれていたと思いますか?また、「私が話したこと以外の出来事」をどれだけ考慮しましたか?別に、あなた方に私たち2人のやりとりを全て言うわけないでしょ?そうした事情を十分に検討しないまま、私が発した中途半端な言葉のみを鵜呑みにし、ここまで人を誹謗中傷できるとは、居酒屋トークとは何とも底が浅いものでございますなあ!まあ、居酒屋トークでそこまで真剣に考える必要なんてないだろうから、ここはとりあえず笑ってごまかしておこうかしらん)


と思いながら、特に反論することもなく、苦笑の表情を浮かべてやりすごす。こんな感じなので、先輩からの罵詈雑言やマドンナのオブラートに包みまくった軽蔑に対しては特に傷つかなかった(最悪の新入社員)。



――ところで、このように書くと、私は先輩たちに対して何か憤りを感じているように思われるかもしれない。だが、事実は逆である。


私は先輩を尊敬しているし、ある意味で親しみも覚えている。今回、先輩がいろいろ言ってきたのは、私に対し、何か叱咤激励をしてくれているようにも思えた。

 それに、いろいろ厳しいことを云うのは、ある意味で私に気を使わずに接してくれている、ともとらえられるだろう。言われて心が折れそうな人には言わない社風のようだし。 そういった意味で、こういった多少キツメなことを言われるのは、私のような人見知り人間からすれば、むしろ喜ばしいことと言えるだろう。


……それに、実際、B嬢に対する私の態度がまずいと言う点に関し、多少、思い当たる節もあった。なんというか、彼女との関係が当たり前に感じ始め、彼女への思いやりが足りなくなっていたかもしれない。



さて、反省も含めて独りもんもんと考えていると、マドンナが少し酔っ払いながら再び声をかけてくる。


マ「――どですかでん次郎君」


「はい?なんでしょうか?(色っぽいな~)」


マ「女の子はね、プレゼントで何をもらうよりも、どれだけ私のことを考えてくれたんだろう、ってことを大事にしているものなんだよ。だから、プレゼントは価格だけじゃなくて、彼女のことをどれだけ考えたかってことを伝わるようにしてね」


「はい」


マ「うん、うん。ちなみに、私が一番うれしかったのは、ネックレスをもらったときかなあ。正直、形とか色とか全然好きじゃないものだったんだけど、すごく考えてくれたのが伝わってきて、今でも大事にしてるの」


「(マドンナさんは今その男性とお付き合いしているんですか?)なるほど、そういうものなんですね。考えることが大事なんですね」


マ「うんうん!だから頑張って考えてね」


そうマドンナに諭されていると、続いて私の上司も参加してくる。


上司「どですかでん次郎よ」


「はい」

上司「いいか。行き当たりばったりではだめだ。しっかり計画性を持って彼女へのプレゼントは考えろよ。事前準備は入念にな。これは営業でも言えることだ。営業と女性を口説くことはおんなじだ。どれだけ相手の気持を考え、事前準備を図り、相手を楽しませ、喜ばせるかだ」


「は、はあ」

上司「そういうもんだ」

マ「それはわかる気がします!うん、うん、うん、うん――」


(……ふ~ん)


こうした話を受け、私は、

先輩たちが束になっても思いつかないような何かをしてやりたい


と思った。もちろん、B嬢のために、ということは大前提である。自己満足で終わったらなんの意味もない。


――



新宿ミロードにある某バッグ屋さんで、バッグを購入。


なお、バッグを購入した理由を簡単に説明する。彼女は最近、とある資格を取るべく、休日は図書館やカフェに行って勉強をすることが多い。そこで、勉強時に使えそうな少し大きめのバッグをプレゼントしたら、彼女も喜んでくれると思ったわけである。 なお、価格に関しては皆さんの想像におまかせする。個人的には頑張ったと思っている。(先輩からはたるんでる、と言われそうだが)



さて、プレゼントを購入したわけだが、私はまだ悩んでいた。


(このバッグをそのまま渡しても、多分B嬢は喜んでくれるだろう。だが、そこにエンターテイメントはあるだろうか?このバッグをもっともっと輝かせるために、彼女を楽しませる必要があるだろう……何かいいアイデアはないか?)


……残念ながら、全く思いつかなかった。新宿駅から帰りの電車に乗っている最中も、ずっと考えていたのだが、どうしても思いつかなかった。



いっそのこと、ネットで

誕生日プレゼント サプライズ

と検索しようとも思った。――だが、その衝動は抑える必要があった。それは、ネットに頼っても、私自身が面白くもなんともないからである。仮に、すでに誰かがやったことがあったとしても、やはり自分で思いついたアイデアで勝負したいと思っていた。


(何かいいアイデア、何かいいアイデア……)



ふと電車の中を見てみると、あるものが目に付く。


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最近、テレビのCMだけでなく、いたるところにこの広告を目にする。小学校からドラえもんを愛読してきた私からすればとてもうれしいことであるが、いささか過剰な気がしないでもない。


(また、ドラえもんを読み返そうかなあ~)

なんて思っていると、私はそれまでせき止められていた水が一気に流れるように、一つのアイデアが思いついた。それは昔読んだドラえもんの

あるエピソード

を思い出したことによる。



(……このアイデアなら、いけるかもしれない。F先生、ありがとう!)



この瞬間ほど、ドラえもんを読んでいて良かったと思った瞬間はなかったといってもいいだろう。



――彼女への誕生日計画、その全貌と結果は、次の日記で記すことにしよう。






追記

今日書きたかったのは真ん中バースディのことだったのに、気付いたら飲み会のやり取り中心となってしまった。反省。


 


真実は多面的なものだ 自分の見方で変化する



『スターウォーズ・ジェダイの復讐』

 




個人的な偏見を排除するのはいつも難しい。しかも偏見は真実を曇らせる。――私は真実を知らないし だれにも分かるまい。


『十二人の怒れる男』







あなたの顕微鏡には 今なにが見える? 小さな自分さえも見えないまま


熊木杏里『顕微鏡』




 
いいかえれば、人生には明確な「結果」があり、そのときになればある行動の意味を最終評価できるという考え方そのものが、都合のいい作り事に等しい。現実には、われわれが結果とみなす出来事も決して真の終点ではない。むしろそれは押しつけられたまがい物の里程標であって、映画の結果が実際にはこれからもつづく物語にまがい物の終止符を打つことであるのと変わらない。そしてある過程のどこに「終わり」を押しつけるかによって、結果から導かれる教訓は大きく異なってくる。

 ダンカン・ワッツ『偶然の科学』







多面体 







金曜日の夜。


新宿駅で帰りの電車を待っていると、心の友であるD君と出会う。


私「よう、久しぶり。偶然だね」

D「あ、久しぶり」


私とD君は一緒に電車に乗る。なお、時刻はすでに0時を回っているにも関わらず、電車の中はぎゅうぎゅうであった。さすが東京、田舎とは違い、金曜日の夜は長いようである。



――




D君の表情は、どこか落ち込んでいる様子だった。


私「……どうしたの?なんだか元気がないね。また彼女との電話で悩んでるの?(笑)」


D君は遠距離恋愛中なので、ほぼ毎日彼女と電話をしている。ただ、電話でのコミュニケーションではうまく意思疎通がとれないらしく、そのことで彼が悩んでいるのをしばしば聞かされていた。茶化すつもりでそのような事を言ってみたのだが、この日のD君の悩みはもっと別のところにあるようだった。


D「そんなんじゃないよ。ちょっと、会社の先輩とのことで悩んでいたんだ……」





先輩後輩 

私「先輩?」


D「……うん」


私「まあ、この時期の新入社員にはありがちな悩みだね。でも、君のような大人の男が、そんな通り一辺倒の悩みを抱えるなんて、これは愉快な話だ(笑)」

D「そう言うなよ。数年後に世界を背負う男にだって、はたから見ればつまらない悩みに取りつかれるもんだ」


私「ふむ。それで、もしよければ聞かせてくれないか?どんな悩みも話してしまえば楽になるって、むかし誰かが言っていたよ(根拠は定かではないけど)」



D「う~ん、そうだね。じつは――」



満員電車の中で私はD君の悩みを聞いた。その悩みがなかなか面白い内容なので、今日の日記ではD君の悩みごとを記してみよう。あ、D君からは許可をもらっているので、そこら辺はご安心を。


――




某メーカーの営業職に勤めるD君は、仮配属期間中ということで、7月上旬まで工場に研修していた。そして、だいぶまえに、再び営業にもどった。


この前の金曜日、D君は、先輩であるKさんに同行していた。


Kさんは30代前半の既婚男性。やや固太りした体格。人一倍、和を重んじる性格で、会社の人とのコミュニケーションをなによりも大事にしている。常に会社を盛り上げる陽気な先輩だが、上下関係に関しては殊に厳しく、後輩を叱責することが多い人でもあった。また、強い信念と人生観を持っている人でもあり、それを他人に押しつける時、いささか偏見性の強い発言をすることもあるようだった。



――さて、この日のKさんの業務はクレーム対応。Kさんが取引先にお詫びと事情説明をするというもので、それをD君がそばではお意見させていただく、というものだった。





★厳しい


お昼前、KさんとD君は会社をでて、営業車で取引先へと向かった。なお、営業車の中で、D君は少し緊張感を抱いていた。それは、会社を出る直前、Kさんから軽くお叱りを受けていたからである。会社を出る前、KさんはD君の格好を見て

「おい、D君よ」

と声をかけられた。

「上着、どうした?」

D君はこの時、


(……やはりな)


と思った。

「じ、実は……忘れてきてしまいました」


「忘れた!?……ったく、たるんでるわ~。夏だからって、お客様のところに行く際は、念のため上着をもってこなきゃだめじゃんか」

「す、すみません」

「もっと、気を引き締めてもらわないと困るよ」

「は、はい……」

D君の会社では、いかにクールビズが世の中に浸透しても、お客様の所に出向く際は、念のため上着を持って行くのが慣例となっていた(どこの会社もそうかもしれないけど)。ましてや、D君は新入社員、どんな相手に対しても、人に会う時は礼儀として上着を身につけるのが常識である。


――ただ、D君が上着を忘れてきたのには単なるうっかりではない理由があった。この日のD君は一日中

内勤(会社の中で業務をこなすこと)

の予定だったので、特に上着は必要ないと思っていたのである。なお、内勤中は、上着を着ているとかえって暑苦しいヤツと思われるので、上着を着ている人は誰もいない。

……まあ、サラリーマンたるもの、予測不能な業務変更が生じることはよくある話なので、今回はD君の新入社員特有の油断が災いしたものと言えよう。


D君は、Kさんが運転する営業車の中で、先ほどの出来事を引きずっていた。そのため、しばらくは車の中で重い空気を感じていた。





★気さく



いつも渋滞している首都高速を走行中、Kさんがあくび交じりに

「いや~眠いわ~」

とつぶやく。先ほどの厳しい口調とは打って変わって、お笑い芸人のコントのような少し極端な調子だった。

「……眠いんですか?昨日、何かあったんですか?」

D君はできるだけ先輩とコミュニケーションをとろうと思いつつ、先ほどのことが気になりながら、恐る恐る聞いた。


「昨日、労働組合関係の飲み会があったんだよ。3次会まであったから、昨日もろくすっぽ寝てないんだ」


「あ、そうだったんですか。何時くらいまで飲んでいたんですか?」

「何時くらいだったっけ?確か12時か1時くらいにお開きになったからなあ。一次会で30人くらいいて、二次会で一気に減って8人くらいになって、三次会では俺とあと二人くらいだったと思うよ」


「二次会でそんなに減ってしまうものなんですね」

「まあね。それにしても、二次会はほとんど合コンみたいなものだったなあ。男女比4対4だったし。女子はキレイコさんとビジョエさんとタンレイさんとブスノブスヨさんだったから、もうよりどりみどりだったよ」


「それは良いですね。美女に囲まれてうらやましいです(笑)」

「お前、ブスノブスヨさんの名前を聴いて少し笑っただろ!」

「いや、笑ってないですよ!本当に」

「よし、今度D君がブスノブスヨさんと会った時、D君がブスノブスヨさんと二人で飲みたがっていたってい言っておくわ」


「いや、そんな(笑)」


……ちなみに、D君はブスノブスヨさんと会ったことはない。だが、この流れで「知らない」というと、会話が止まってしまうと思ったので、適当に合わせていたようである。それに、こうした話をKさんがするのは、なんとなく気まずそうにしているD君への気づかいだと、D君自身も感じていた。


その後もKさんは、会社に対する風刺的発言を言ったり、下ネタを交えた話をするなどしていた。そんなKさんと話しながら、D君は

(やっぱり、この人は気さくな人なんだよな。話も面白いし)


と思っていた。






★落ち着きがない


取引先に行く前に、昼ごはんを食べることになった。そして、取引先の近くにあるとんかつ屋さんに入る。

お店に入り、注文を済ませると、Kさんは


「ちょっと、外に言ってくる。煙草が吸いたくなった」


と言いながら、D君からの返事を待つ間もなく外に行ってしまった。ちなみに、Kさんはヘビースモーカーで、車の中でも終始煙草を吸っていたようだ。ポツンと残されたD君は、つかの間の一人の時間に心落ち着かせていた。


――

注文の品が来ると、Kさんは勢いよくキャベツを食べ、すぐに店員さんを呼んでキャベツのおかわりをした。おそらく、食べすぎないよう、先にキャベツで満腹感を得る戦術だろう。中年男性特有の健康意識と言えようか。ただ、5分もしないうちにとんかつを全て平らげた。(この早食いを直した方が、ダイエットの近道になるのではないか?と思うのは余計なおせっかいである)



一方のD君は、Kさんが食べ終わった後もまだ半分くらい残っている状態だった。D君は慌ててご飯をかきこむが、思いのほかご飯の量が多くて苦戦していた。その様子を見ていたKさんは

「俺、先に外に出てるわ。ちょっと煙草が吸いたくなったから。お会計はこれで済ませて。足りない分はD君が出しておいてくれ」

財布から2000円を抜きだしてD君に差し出すと、すぐに外に出てしまうKさん。

そんな様子を見てD君は

(落ち着きのない人だなあ。せっかくのとんかつなんだから、もう少しゆっくり味わえばいいのに。でも、まあ、ヘビースモーカーって、そういうもんなのかな。


などと思った。だが、研修中は、先輩のペースに合わせるのは当たり前である。D君は自分もなるべく早く食べ終わろうと、熱い味噌汁に舌を軽くやけどしながら、2分ほどで完食し、会計を済ませて外に出た。





★仕事ができる

取引先に到着し、KさんとD君は取引先に行ってクレーム対応を行った。

車内での気さくな感じとは打って変わって、Kさんは取引先に対し、真面目な説明と質疑応答をこなしていた。その見事な切り替えを見たD君は


(この人、なんだかんだいって仕事ができる人なんだろうなあ)

と思っていた。

なお、クレーム自体が大したことがなかったのか、Kさんの説明がよかったのか、そこらへんは定かでないが、話自体は10分程度であっさりと終わってしまった。




★高圧的

KさんとD君は営業車に乗り、会社へと戻る。

その車中、Kさんは思いだしたように


「そういえばさ、この前言っていた『あの課題』はどうなった?」

Kさんのこの発言に対し、どきりとするD君。


なお、ココで言う『あの課題』とは、D君がKさんから個人的に与えられていた課題のことで、簡単に言うと、エクセルを使った書類作成の練習であった。



「あ、課題ですか。……すみません、ちょっとまだ終わってないです……」

沈んだ声でつぶやくように言うD君。それを聞いたKさんは

「まだ終わってないの!?それはいかんでしょ~ちょっとダメなんじゃないの?それに、この課題を与えたのって、もうだいぶ前だろ」

と、あきれた様子で叱責。


「す、すみません。仕事が遅くて……それになかなか時間的に余裕がなくて。展示会とか工場研修とかが続いていたので、あんまりやれてなくて」

「それは言い訳だろ」

「は、はい」

「スケジュール管理はサラリーマンとしてできないとダメだよ。最悪だ。今は研修期間中だから良いけど、もうすぐ本配属になったら、そんな甘ったれたこと言えないんだからな?」


叱責を浴びたD君は、とっさに



「……あの、休日中にやっちゃだめですか?できてない分、会社のPCを持ちかえってやりたいんですけど」

そう答えると、Kさんは深くため息をついた。そして、やや強い口調で


「いや、だからそれは前も言ったけど、休日中に仕事しちゃダメだって。休日に仕事をするようなヤツは無能なだけだから。今からそういう癖が付くと、将来ろくなやつにならないし。というか、俺が言っていたこと、ちゃんと覚えているか?何にも言ったことを覚えてないじゃないか。そうやってると信用なくすぞ」

「……」



(仕事が遅いのは新入社員なんだからしょうがないじゃん。それに、休日にやっちゃいけないなら、どうやって期限まで間に合わせればいいんだよ。ちょっと矛盾してないか?仕事ができるからって、自分の尺度でこっちの行動を規制しすぎじゃん。しかも?ここで内緒でパソコン持ちかえったら?ものすごく怒るだろうねええ!あああああああ!!!)

D君は、Kさんからの指摘に対し、恐れとともに、少し威圧的な態度に抵抗感を持っていた。




★気づかい

首都高速を走っている最中、しばらく沈黙が続いた。このことに、会社を出る前と同様、重苦しい空気を感じるD君。

……ただ、こうした気持ちはKさんも同じだったのかもしれない。人との和を重んじる性格を持つKさんは、このような空気を長時間耐えられなかったのか、

「……渋滞、長いなあ」

と、つぶやきをする。それが空気を変えるためのつぶやきだと感じたD君は

「そうですね。結構長いですね」

と、言葉を返す。


「おい、あんまりイライラすんなよ(笑)」

「いや、してないですよ(笑)大丈夫です!」

「本当に?」

「……ただ、早くかえってKさんからいただいた課題を済ませたいなあ、と思っていたもので。本当に、遅れてすみませんでした」


「う~ん、まあ、そうだなあ。でも、本当に時間管理は大事だからなあ。それは意識してほしいとは思うね」

「ありがとうございます。じゃあ、課題は頑張って今日中に終わらせたいと思います」

「そうだな。まあ、頑張れや」


「はい、頑張ります」

先ほどとは違って少し温和な感じになるKさんに、D君も少し気持ちが楽になっていた。


「ところで、最近映画とか見た?」

と、急に脈絡のない話を振ってくるKさん。


「いや、最近はめっきり見てないですね……。でも、『アナと雪の女王』は見ましたよ」



「誰と?」

「いや、彼女とですけど……」

「のろけか!バカ野郎」

「いや、そんなことは(笑)」


こんな感じで、車の空気から少しずつ緊張感がほぐれていった。なお、D君はこのとき

(厳しい人だけど、どんな人にも気づかいができる人なんだろうな)

と思っていた。




★非一貫性



会社に戻ったのは16時30分頃。D君は急いでPCを開き、与えられていた課題に取り組む。

――

二時間ほど集中し、どうにか完成。……しかし、確認してみるといろいろな所に致命的なミスがあり、それらに修正を加えなければならなかった。

――だが、修正を加えるとそれまで問題なかったところに問題が生じた。それを修正するとまた別の所に問題が生じる。D君は自分が何をしたいのかよくわからなくなり、頭から煙が出てきた。



すると、Kさんが


「おい、D君、大丈夫か?」

と声をかけてくれる。


「あ、すみません。大丈夫です。ただ、自分が何をしているのかよくわからなくなっていたもので」


「そうか(笑)まあ、最初はそんなもんだ」

「はあ」

「――ところで、今日、飲みに行ける?」

「飲みですか?……いや、行きたいですけど、今行ったら課題が終わらないというか……」

そういうと、Kさんは特に考えることもなく

「今日は、許す。だから、飲みに行く準備をしろ」

と、あっけらかんとした調子で言うKさん。それを聴いて思わず

「え」

と驚きが漏れる。

「19時前には出るから。他の人もそのくらいには終わるらしいし」

「は、はあ」




D君はその言葉を聴きながら

(さっきと話がちがうじゃんか。あんだけ期日を守ることが大事だ、って言っていたのに。この人、自分の言ったことをどう思ってるんだ?)

と、発言の一貫性がないことに妙な気分になった。

結局、D君は課題を中途半端な状態でPCを閉じ、Kさんを中心に集った先輩4名とともに飲み会に行くことになった。




★恐怖

新宿にある某居酒屋に入り、飲み会が開始した。

――

飲み会は終始盛り上がっていた。ただ、D君はあまり会話に入って行くことができていなかった。会話の内容が取引先への愚痴の時は、リアクションに困っていた。また、内容自体に特に意味もない冗談に関しては、愛想笑い以上の対応ができなかった。


――さて、宴もたけなわになり始め、内容のないジョーダンが会話の中心になる。そんな中、先輩の一人が



「そういえば、D君は、Kさんと一緒に同行してどうだった?なんか怒られたりしなかった?」


と質問してくる。愛想笑いしながら、頭の中では自分の世界に入り込んでいたD君は、虚をつかれた調子で


「え、怒られる、ですか?」


と、慌てる。そして、


(この場で車内で怒られたことを言うと、せっかくの空気が悪くなってしまうかもしれないよな……)

と思う。そこでちょっと苦笑いしながら、

「いやあ、怒られたってんじゃないですけど、お昼にとんかつを御馳走になったんですよ。その時に僕の食べるスピードが遅くて、Kさんをイライラさせちゃいましたね(笑)それは申し訳なかったです」


と、少しふざけた調子で答える。

――すると、Kさんは、それまでの宴会部長から少し声を低くし、呆れた顔で

「……いやいや、そこでは怒っていないから。そんな所より、もっとちゃんといったことがあっただろ?お前がスケジュール管理が全然できてない、ってことを言ったはずなんだけどなあ」

と言う。

「は、はい……」


それはこの場では言わない方が良いと思ったんですけど



とは言えないD君。胸の中にざわつくものを感じる。


「俺が言ったことを何ひとつ聞いていなかったのか?そういう感じだと、もう何も教えたくなくなるわ」

「……」

冗談で言っているのか、本気で言っているのかわからない。しかし、その場が少し静まりかえっていたのは事実であった。ただ、その場で一番の年上の先輩が


「まあ、Kも新入社員時代はろくにスケジュール管理もできてなかったけどなあ。おまえ、ずいぶんえらそうなことを言えるようになったねえ(笑)」


と言う。すると、その場は笑いに包まれ、和やかな雰囲気にもどった。……なお、D君は苦笑をしながら心の中で


(やっぱり、Kさんは少し怖い人、なのかしら・・・・・・?)


と思っていた。D君は酔いが醒めた状態で電車に乗った。そして、私と出会ったのであった。




――




私「ふ~ん、それはまあしょうがないよね」

D「うん……まあね。Kさんが言っていることはもっともだし、課題を出せなかった僕にも問題があるし、飲み会でふざけたのも悪かっただろうし……」

私「――でも、意外だなあ」

D「え、何が?」

私「D君がKさんに対して実にいろいろな見方をしたてことさ。君の話を聞いていると、Kさんが良い人なのか嫌な人なのか、まるでわからないね」

D「……う~ん、確かに言われて見ればそうだなあ。今日も、Kさんに対して尊敬したり、恐怖感を抱いたり、反抗したくなったり……自分と言う人間がいかに一貫性がないのかが分かるなあ」

私「本当に今日という一日だけで、ずいぶんとめまぐるしい変化だよね(笑)なかなか面白い話だ」

D「そうねえ。……あ~あ、なんかダラダラ話してたら眠くなってきた。話がややこしくなる前にお別れしよう。じゃあね」


私「うん。お休み。今日はいい話を聞かせてもらったよ」


――



D君と私は旧知の仲だ。だが、彼がまるでスロットマシーンのように、Kさんに対する見方を何度も変化させるような人間だとは思わなかった。世の中を何も知らないウブな子供ならともかく、それなりに人生の酸いも甘いも経験したD君がこれほど変化させるというのは、実に興味深い事実である。

さて、こうなると、必然的に次のような疑問が湧かずにはいられない。すなわち、


何かに対して見方を何度も変える性質は、D君だけに限らず、誰もがもっているものなのだろうか?

という疑問だ。

この疑問に対し、






そんなに見方を変化させるなど、ありえない。D君が特別子供っぽいだけだ。




と思っている人も多いのではないだろうか?自分は、そんなにふらふらしてない、明確な考え方や信念を持って世界のあらゆる物を見極めている、と。

私もそのような意見に反対するつもりは「なかった」。……だが、D君の体験談を踏まえ、こうした意見が

かなり的を外した認識

のように思えてならなくなっている。人は、自分が思っている以上に見方を変化させているのではないだろうか?ただ、自覚できていないほど繊細な変化なのか、もしくは変化が余りにも頻繁すぎて忘れてしまっているだけで。


……なお、
この疑問に対して何か既存研究があるのかどうか調べたかったのだが、残念ながらそういった資料を見つけることはできなかった。それは、仕事が忙しかったり、休日はB嬢と会うのに使う必要があるため、時間的制約が大きくなっていたからである。(言い訳)


――だが、この見方がめまぐるしく変化するということが、D君だけではなく我々自身にもあてはまるかどうかを試すための、簡単な実験方法を考案した。


自分がある対象に対して見方を変えるかどうかをチェックする方法、それは、






一日を通して、今、自分が気になっている特定の対象(人・物・出来事)に対する自分の見方をメモする




というものだ。



観察 









これを一日だけやってみるだけで良い。たった一日、ペンとメモ用紙さえあれば、自分が特定の対象に対してどの程度見方を変化させているのかを実感できる。対象は彼氏彼女でもいいし、明日の試験のことでもいいし、今読んでいる本でもいいし、朝に見たニュースでもいい。それらに対する自分自身の気持ちと向き合うのである。なお、記録を取る際は

・どのように変化したか
・変化した時間
・変化した理由

などをその場で簡単に記してみると、あとで読みかえした時に正確なデータとなる。多少面倒かもしれないが、一日ぐらいならばやってみてもいいだろう。



――なお、この「自分観察」を行う際、対象を選ぶうえで注意しなければならない点がある。それは、



自分自身が強い偏見を持っている対象に対しては、この自分観察を行ってもあまり意味がない



ということだ。



狂おしいほど大好きな「あの人」

殺したくなるほど憎たらしい「アイツ」

反対(もしくは賛成)以外の意見は認めたくない「事件」

思いだしただけで涙が出る「災害」

見ただけで下半身が反応する「アノサクヒン」





などなど、良くも悪くも強い偏見を持っている対象に対しては、見方がなかなか変化しにくいものである。
それに、仮に変化したとしても、残念ながら偏見が邪魔をして変化を記述しようとしないだろうし。何にしても、強い思い入れがある場合、自分自身の変化を辿ることは難しいだろう。


さて、この点だけを注意して対象を選び、是非とも自分観察をあなたもしてみてほしい。意外と面白い発見ができるかもしれませんよ。……もちろん、暇だったらね(笑)





追記

この自分観察は、自分の変化を調べるだけではなく、もうひとつ重要な意味がある。それは、



瞬間的な行動や判断をしなくて済む




ということである。

感情の高ぶりがもたらす事件や争いは、テレビや新聞を見てわかるように数知れない。もちろん、そこまで大きな事件にならずとも、アナタ自身も感情的になりすぎて失敗を起こしたことがあるだろう(ないとは言わせない)。

……いうまでもなく、こうした感情の高ぶりによって自分自身の人生を狂わせるのは馬鹿げていることである。(仮にプラスの感情であろうとも、その場で出会った人と即座に結婚するのは、長期的に見た時に失敗する可能性が高いらしい)


――つまり、こうした瞬間的な行動や判断を防ぐためには、何においても「冷静さ」が必要となる。そして、自分観察は自分自身の変化を観察するための冷静さを養うために有効な手段である。


例えば、ある人に対して怒りの感情にとらわれた時、

私は今、怒りの感情の最中にある。そして、その感情にとらわれた状態でこの人を見ている。しかし、この怒りの感情は永続的に続くものではなく、時間の経過とともに変化が生じる可能性が高い。ゆえに、この怒りの感情にとらわれて判断をすべきではない。とりあえず、今は自分の感情を正確にとらえることに徹しよう。

と考えられる。これにより、怒りに身を任せずに済む。(私はこれを「『反応の遅滞』と呼びたい)。


こうした訓練的な意味もこめて、自分観察は取り組むべき価値があることと言えるだろう、と私は考える。


以上。


追記2


これを小学生の夏休み自由研究にしたら、文部科学大臣賞をとれたでしょうね(アホ面)。






 





時代の風潮、自分を取り巻く環境、さまざまな価値観、それらを正しく見きわめ、自分の判断で行動できるのは、どこにも属さない「迷子」だけだ。

夏目漱石






この日記は、北日本の某県にあるモスバーガーで、朝食にホットサンドとホットコーヒーを食べながら書いている。


店内では、何の曲かわからないオルゴールが流れており、ゆったりとした時間を演出している。また、さほど田舎でもないのだが、お客は私しかいない。開店直後だからだろうか?日曜日からだろうか?雨が降っているからだろうか?……理由は不明だが、何にしても、実に優雅な朝である。






 さて、今週から約2週間、研修場所が東京から移り、約二週間の地方研修となっている。研修内容も営業業務ではなく、









工場での製造研修



building_009_web.jpg 


である。




――あ、自己紹介が遅れましたが、私どですかでん次郎は、某ほにゃららメーカーの某企業に勤めております。今年4月に就職したばかりのバリバリのフレッシュマンでございます。一応、営業として採用されました。ただ、しばしば周りから「君は営業って感じじゃないね」って言われまーす。でも、私は自分が営業に向いているって思ってまーす。



……え?何の業界くらいは書けって?まあ、念には念を入れさせてくださいな。会社もそう言うところは厳しいんですよ。ところで、女子大生のみなさん、いつでもOB訪問受け付けますよ。マックのコーヒーを飲みながら、御兄さんがゆっくりと仕事のいろはを教えてあげます。(えへらえへら)




さて、今日は私の工場研修の一日を記してみよう。皆が興味を持っていることを書くことが大事ですからな。(アホ面)




朝。

6時半くらいに起床。寝ぼけながら、バナナを2,3本ムシャムシャと食べることから始まる。なお、このバナナは前もってコンビニで買っておいたものである。

朝食を済ませると、簡単に身支度をし、工場へと車で向かう。(車は会社が用意してくれたものです。)


工場に着いたら、作業服に着替える。定刻になったら朝の挨拶を行い、研修させていただく作業場へと向かう。




作業場では、主に機械や作業内容の説明を受ける。たまに実際に作業を手伝わせていただけることもある。力作業の時は、自慢の筋肉をフル活用してやろうと思うのだが、工場の人の腕力には到底かなわない。作業を終えた後は、いつもへなへなになってしまう。


昼。

社員食堂で昼食。食堂ではAランチかBランチかを選ぶことができる。大体定食である。なお、味は可もなく不可もなく。ただ、この昼食タイムが研修中の大きな楽しみとなっている。解放感が尋常じゃないからかもしれない。



午後。

引き続き作業場へ。研修は午前の延長の場合もあるし、別の作業場に行くこともある。研修内容は午前と一緒で、工場を見学したり、作業を手伝ったりする。


おおよそ16時くらいまで研修を行ったら、その日に学んだことをレポートで書く。書き終わったら研修終了。大体17時~17時半くらいには寮に帰ることができる。また太陽が元気なうちに帰ることなんて、営業だったら考えられない。この時は、なんだか申し訳なさを感じるくらいである。




夜。

寮に帰ったら、寮母さんが作ってくれた晩御飯を食べる。この晩御飯もまた、今の工場研修の楽しみの一つとなっている。味はおばあちゃんの家で出てきそうな家庭料理である。量は多い。


なお、寮には私以外の人も住んでおり、晩御飯後はその人達と酒を飲んだり話をしたりする。酒は基本的にウィスキー。肴は晩御飯を少し残しておいたもの。



ちなみに寮に住んでいる人たちはみな個性的な人たちばかりで

寮に20年以上住んでいる毛むくじゃらな人

や、

大学生風ののっぽな御兄さん(推定2m10cm)

や、

酔っぱらった姿しか見たことが無いようなベテランさん(もちろん、ギャンブルが大好き)


など、なんだか昭和な雰囲気をぷんぷん放っている。こうした人たちと一緒に話しているだけで、なんだか時代設定を後ろの方に戻したような気分になれるから不思議である。これで寮母さんの可愛い娘さんがいたら最高なのだが(いらぬ妄想)。


ちなみに、この寮は、部屋にトイレが付いておらず、今時珍しい共同トイレである。また、風呂も共同。なお、この風呂はナメクジが出るということで有名。冷蔵庫も共同。冷蔵庫には『他人の物をとらないでください』という貼り紙もちゃんと貼ってある。……最高。


私、こういう古臭い雰囲気というのが結構好きなので、この寮生活は存外楽しめてます(笑)大学時代にこういう寮生活にあこがれていたんですよね(笑)大学時代に西村賢太や森見登美彦にはまっていたけど、あの時にこの寮に住んでいたら、主人公と自分を照らし合わせて、無頼漢ごっこから抜け出せなくなっちゃってたかもしれないな、とも思いますね。……まあ、こんな想像しても何の意味もないことなのでしょうけど。



何にしても、いまどきのオニャノコには近寄れない世界だと思います(事実、女性新入社員は別の施設に住んでいる)




さて、22時ころに部屋にもどる。そして、寝る前に彼女と少し電話して、次の日の研修にそなえるのです(急にのろけ)。……ただ、この電話の時間によって、なんだか現実にもどったような気になるのは不思議です。だからといって、B嬢との電話が嫌だというわけではないですよ。誤解のないように(誰に言ってんだ)。




以上、私の最近の一日でした。日記が書けるカフェが近くにある。味のある寮がある。それだけで、私は満足できてます。営業に仮配属されたけど、意外と、工場勤務も楽しめるかもしれないな。


……まあ、工場で働いている人たちからすれば、ボンボンのたわごとにしか聞こえないのかもしれないけど(苦笑)


おしまい。




追伸


昨日もモスに行った。その帰り道、寮の途中にあるスーパーにふらりと立ち寄る。すると、


(……このにおい)

焼きいも 
入り口で焼き芋を発見。焼き芋好きの私からすれば、ここで「買わない」という選択肢はありえない。焼き芋を手にとって、文字通りホクホク顔で店を出る。


ちなみに、この時買ったサツマイモの紙袋がユニークであった。こちら。



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一体、どの層を取り込もうとしているのだろうか。でも、なんだか焼き芋ブームが近々起こりそうな気がしました。みなさん、焼き芋ツウぶりたいなら、今のうちですよ。




 



if もしも・・・人が皆、孤独な旅人であるとしたら、あなたはやがてある二股の分かれ道に突き当たるのです。右に行くべきか、左に行くべきか、あなたは大いに迷う。あるいはうっかり気づかなくて通り過ぎてしまう。かくして現在のあなたがあるわけですが、ひょっとして、別の道を選んでいた方が幸せになれたかもしれないのです。もしも、こっちを選んでいたら……if もしも……

『if もしも』 より




先の読めない物語でも 行ける未来は ただ一つ 不思議な不思議なこの世界 連なって どこまでゆくの


熊木杏里『一千一秒』より







そのときは取るに足らなく思えた選択が、いつの日かきわめて重要になる場合もある。そしていまはとてつてもなく重要に思える選択が、あとになってどうでもよく感じる場合もある。われわれは最後の最後までけっして知りえない。それに、すべて自分しだいで決まるわけでもないのだから、最後の最後になってもわからないかもしれない。


ダンカン・ワッツ『偶然の科学』より






人生の節目となる瞬間は――自分では それとわからない。”また機会があるさ”と思ったが――実際はそれが最初で最後だった


『フィールド・オブ・ドリームス』より














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みなさん、ごきげんよう。御久し振りのどですかでん次郎です。


約1か月振りの日記なのである。


……この日記をはじめてから来し方2年、私なりに守るべきルールを設けていた。それは、


どんなに内容のない日記になろうとも、あのバナー広告は絶対に出させない


ということである。

……だが、ついに私はそのルールを破ってしまった。……全く、残念至極なり。


まあ、このルールを破ったからといって、簡単に日記を辞めるつもりはないのであしからず。男は黙って臨機応変なり(えへらえへら)。





話変わって、私の近況を報告しよう。


……この一か月間、実にさまざまなことがあった。いろいろな所に出張に行ったり、日々繰り返される飲み会のストレスに悩まされたり、新人懇親会の自己紹介でで壮大にやらかしたり、浮気まではいかずとも、素敵な女性先輩に思わず心を奪われたり……本当に、毎日が刺激的であった(現在進行形)。


――ココだけの話だが、もしも日記を毎日更新していたならば、余りの面白さに世界中の人々が私という人間に関心を奪われていたはずである。

AKB総選挙やサッカーが低視聴率に終わり、その原因究明に各メディアが躍起になっていたであろう。株価の乱高下が続き、(自称)経済ジャーナリストもてんやわんやになっていたであろう。STAP細胞やニホンウナギの行方に対し、大衆は

そんなことはどうでも良い。それよりも、どですかでん次郎の日記が大変なことになっている


ということになっていたであろう。


……だが、残念ながら大人の都合と時間的制約とがあったため、日記の更新をついつい怠ってしまった。(ファンのみなさん、ごめんなちゃい)








言い訳はこれくらいにして、今日の日記を書いていくことにしよう(真顔)。



ところで、今日の日記は、会社のことは一切関係ない。今日書きたいこと、それは



先週起こった、ほんの些細な出来事――しかし、じっくり考えればそこそこ感慨深い出来事


である。まあ、暇つぶし程度にどうぞご覧あれ。








先週の土曜日13時半頃。




 この日の私は、遠距離にいる我が恋人B嬢に会いに行く計画を立てていた。彼女が住む場所と私が住む場所は、距離にして100km以上離れているため、電車ではなく新幹線や高速バスを使っていく必要があった(車も持っていないので)。



今回は、大学時分によく乗っていた高速バスを使って、B嬢のもとへいくことにした。……まあ、金銭的にはお給料をもらっているので、別に新幹線を使っても困らなくなっている。だが、高速バスは独りでゆっくり物を考えるには最適な空間なので、久しぶりに乗ってみたくなっていたのである。決して貧乏性から来たものではない(これ、ほんと)。




14時発の高速バスに乗るために、私は13時ころに社員寮を出て、高速バスターミナルがある代々木へと向かっていた。(代々木が東京のどこら辺にあるかはいまだもって不明なり)

ちなみに、私が住む場所から代々木バスターミナルまで行くには、いくつかのルートが存在する。この時の私が把握していたのは、次の二つの選択肢であった。


ルート1
 私が住む場所→→(電車)→→新宿→→(電車)→→代々木→→(徒歩)→→代々木バスターミナル(14時発)

ルート2
 私が住む場所→→(電車)→→新宿→→(徒歩)→→新宿駅からバスターミナルまで歩く→→(徒歩)→→代々木バスターミナル(14時発)



この時の私は、上の2つのどちらかのルートを選ぼうか、新宿に向かう電車の中まで悩んでいた。


(代々木駅まで行った方が早く到着できるだろう。でも、新宿駅から代々木駅って、たった1駅しかないだろ?それなのに電車に乗るのって、なんかもったいないな。でも、もしも新宿駅からバスターミナルまで歩くとなると、それはそれ体力的にきついだろうしな……う~んどうしよう……)



こんな感じに。全く、直前まで行く手段を悩み続けるとは、我がことながらまるで計画性のない男である。


なお、最終的には、より確実にバスターミナルに到着できると思われる、

ルート1

で行くことにした。恥ずかしながら、私は極端な方向音痴であり、迷路のような新宿駅を歩いてバスターミナルまで行くのは危険すぎると思われたからだ。あと、私は基本的に金持ちなので、一駅分の電車賃くらい、軽々と出すことができたからである。(庶民のひんしゅくを買う一文を書いてしまったぜよ)


――



さて、私は新宿に向かう電車の中で、独りそわそわ。それは、隣に座っていた制服姿の美少女の露出した肌にときめきを覚えていたからである。

(稀に見る美少女……)

こんなことを考えたなんてばれたら、B嬢に泣かれてしまう(もしくは首を絞められる)ので、あくまで日記の中だけの話である。もちろん、女子高生を見過ぎないよう、自制心を働かせていたことはいうまでもない。私は頑なに目を閉じ、隣人に目を奪われないよう注意した。

――

もうすぐ新宿駅に着くという頃、私はあることに気が付く。


(……あれ?バスターミナルの場所ってどこだっけ?)


私は、慌てて携帯電話でバスターミナルの場所を検索。しかし、検索している間に新宿駅に到着してしまった。


(と、とりあえず代々木駅に向かうぜよ!)


私は急いで大江戸線へ乗り換え、一駅先にある代々木駅へと向かったのであった。


――


さて、13:50に代々木駅に無事到着。そして、私は、すぐに駅員さんを探す。しかし、なかなか駅員さんらしき人が見つからない。ここにきて、方向音痴の特性がいかんなく発揮された。



2分ほどして、駅員さんを発見。私は恥も外聞もなく、駅員さんに


「す、すみません、高速バスターミナルってどこになるのでしょうか?」



と尋ねる。ベテラン風の駅員さんは、私の慌てた様子を見ても、いたって冷静に


「え~っと、バスターミナルは、ちょうど駅の反対側にあります。こちら側の通路をわたってもらいますと、踏切がありますので、それを渡っていただいたら左側の方にすぐ見えます」



私はそれを聞いて安堵。

「あ、ありがとうございます!」

時計を一瞥すると、すでに13:53となっていることに気が付く。慌ててキャリーバックを抱え、私は踏切の方に突っ走って行った。



――



(あ、あれか!)

駅から少し離れたとこに踏切があるのを発見。



(この踏切を渡れれば、余裕で到着できる。缶コーヒーを買うくらいの余裕だってあるかもしれない。缶コーヒーがあれば、それだけで十分楽しいバス旅だぜよ笑)


私は、缶コーヒーを嗜みなみ、頭の中で『ぼくらが旅に出る理由』を再生させ、過ぎゆく景色にさまざまな思いを馳せている自分の姿をコンマ0.1秒でイメージし、気持ちを高ぶらせた。








カンカンカンカンカンカン――



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(んなアホな……)



出来過ぎたタイミング。――三流ドラマのような展開と思われるかもしれない。だが、現実世界が作りモノよりも作りものっぽくなることは良くある話である。それにしても、このギリギリのタイミングで、踏切でトウセンボを食らうことになろうとは。


私は慌てて時計に目をやる。時計は、13:55を指していた。


(電車が一分で行ってくれれば、絶対に間に合うはずだ。まあ、缶コーヒーは諦めざるをえないけど……)


できる限り前向きにとらえようとする私。今の私の記憶が正しければ、たしかこの時の私は、自分が高速バスに乗っているイメージを消してはいなかった。




カンカンカンカンカンカン――

(……)


カンカンカンカンカンカン――


(……)



カンカンカンカンカンカン――


(……)


鳴り止まないサイレン。


――そして、自体は三流ドラマを通り越して、付き合いで参加した飲み会の最中に見る、意味不明な白昼夢のような展開となった。




カンカンカンカン(プシュー)カンカン――



(じょ、冗談だろ……)

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なぜか踏切前で停止する電車。



あと数十メートル先に駅があるというのに、なぜか踏切のど真ん中で停車してくれる電車。中にいる人間が皆悪魔に見える電車。……サイレンは鳴り響く。




(なんで?なんで?なんで?あとちょっと前に行けばすぐ駅なんだよ?なのに、なんで踏切前でとまるの?え?なんで?)


パニックになる私。そして、慌てて時計を見る。時刻は、13:57。


(だ、大丈夫。私のカモシカのような脚力を持ってすれば、1分あれば余裕で到着できるぜよ)




根拠0の発想で気持ちを落ち着かせようと必死になる私。だが、サイレンは無情にも鳴り続ける。


カンカンカンカンカンカンカン



(まだ行ける)


カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン


(あと30秒なら耐えられる……!)


カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン

(……あと、20秒なら)


カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン――――


(……うん)



カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン



(……もう、だめ涙)






カンカンカ……ムーン(踏切上昇音)


踏切が上がった時には、すでに14:00となっていた。……おそらくダメだとは思ったが、一縷の望みを抱きながら(自分の時計が1分くらい遅れていることを願って)、バスターミナルに走った。


――


バスターミナルは確かに踏切を渡ったところのすぐそばにあった。私は自分が乗る予定のバスを探す。しかし、どのバスも行き先が異なっていた。私は、もはや諦め感を持ちながら、バス案内をしている駅員さんに声をかける。


「あ、あのすみません。チョメチョメ市に向かうバスって、もう出ちゃいました……よね?」


そう私が尋ねると、駅員さんは手にもっていた時刻表を一瞥し


「そうですね、そのバスは定刻に出発いたしましたよ」


と、いたって冷静な対応。


「……あ、そうですか」


「はい」


私はしばし茫然。そして、しばらくして、ここで待っていてもどうにもならない事を悟る。なお、次のバスだと、19時以降の出発となる。無論、それを待つ気にもなれない。それに、仮に19時以降のバスに乗ったからといって、本来乗りたかったバスの乗車代が戻ってくるわけでもない。




私は、仕方なくバスターミナルを出て、代々木駅にもどり、東京駅に向かった。そして、東京駅から新幹線に乗って、B嬢が待つチョメチョメ市へと向かったのであった。





――

夜。チョメチョメ市の某居酒屋。



「な~んて間抜けなんでしょうね。この人は」


「いや、面目ない面目ない(笑)まあ、いいじゃないの。新幹線に乗って、予定通り、こうして夜に貴女と会えているんだから」


「全然予定通りじゃないわよ!お金がもったいないし、計画性はないし――少しは反省しなさいよね」


「はいはいはいはい、はいはいはいはいはいh」


「本当に反省してんの?」




「……はい」




会話の内容だけを書くと、既に上下関係が明確化しているようにも思われる。しかし、実際は私がうまいこと彼女の心を操作していることは秘密である(いや、本当だって)





――ところで、このままでは、単なる私の間抜け話で終わってしまう。では、今回の出来事から、我々は何を学ぶことができるだろうか?ちょっとだけ、あの日のことを振り返ってみたい。.




……今思い出されるのは、あの時の2つのルートである。もう一度確認してみよう。



ルート1
 私が住む場所→→(電車)→→新宿→→(電車)→→代々木→→(徒歩)→→代々木バスターミナル(14時発)

ルート2
 私が住む場所→→(電車)→→新宿→→(徒歩)→→新宿駅からバスターミナルまで歩く→→(徒歩)→→代々木バスターミナル(14時発)




私はルート1を選んだ。そして、結果としてバスに乗り遅れてしまったわけである。……だがあの時、もしもルート2の選択肢を選んでいたならば、私は今、どうなっていただろうか?――何の意味もないことだが、いまさらながらこんなことを考えてしまう。


もしもルート2の方を選択していたならば、予定通りにB嬢に会えて、私が新幹線に乗るという選択肢すら考えなかったかもしれない。もしくは、高速バスが渋滞に巻き込まれ、新幹線にしておけば良かったと後悔していたかもしれない。


 こんなことを延々と考えると、ついついSFちっくな妄想が膨らみ続ける。そうしたドラマやマンガは今も昔も数知れない(バタフライエフェクト、バックトゥーザフューチャー、プロポーズ大作戦、藤子・F・不二雄作品全般、もろもろ)。















……だが、ちょっと待て。


ここで素朴な疑問が一つ浮かぶ。それは、










私はなぜ、この2つのルートだけを意識するのだろう?




ということだ。



私の運命の分かれ目は、本当に上記の2つのルートだったのだろうか?



冷静に考えてみると、必ずしもそうとは言い切れない……いや、はっきりと、そんなわけがないことに気が付く。いうまでもなく



この2つのルートにさかのぼる前もしくはその後のルートには、もっと多くの分岐点があった




はずである。



たとえば、もっと早く社員寮を出ていたならば、私はバスターミナルに10分前でも1時間前でも到着することができたはずである。また、早くついた場合でも、何の問題なくバスに乗れたルートもあれば、バスターミナルで惰眠をむさぼって乗り過ごしてしまったルートもあっただろう。


また、踏切の状況でも同じことが言える。踏切で通せんぼを食らった時、今回は電車が通り抜けるまで律儀(?)に待つという選択をした。しかし、勢いに任せてバーを乗り越える、というのも、当然選択肢としてあったはずだ。


結果、上記の異なる選択をしたことで、私は少し異なる(あるいはまったく異なる)未来に辿りつくことになっていただろう。




――なお上記の例は、全て

私自身が別の選択肢を選んだことによるルート変更



である。


……だが、私の意思に関わらず、

周囲の人間の行動の違いによって、私が進む道が変化していた


という事も十分に考えられる。


たとえば、私が乗っていた電車の隣に座っていた女子高生が、私の美しい顔に接吻をしようとしていたかもしれない。そしたら、バスに乗るよりも、空いているホテルを探していたかもしれない(アメリカンジョーク)。

もしくは、隣に座っていたのが女子高生ではなく髭面のおじさんだったら、隣人に目を奪われることなく、バスターミナルを事前に検索していたかもしれない。

代々木でも同じことが言える。私が道を尋ねた代々木駅の研修中の駅員さんが、もっとできそこないの新入社員(たとえば、私のような)だったら、道案内にうまく対応できず、私はより早くバスに乗る選択肢を諦めていたかもしれない。


バスターミナルでもしかり。たとえば、バスに乗り遅れて困り果てている私の姿を見て、駅員さんがバスを呼びもどしてくれていたかもしれない。もしくは、私以外の乗客も複数遅刻し、それによってバスが予定時刻よりも遅めに出発していたかもしれない。



……これらの例は、単なる私の妄想にすぎないのだろうか?




そうかもしれないし、十分に起こり得ることだったのかもしれない。ただ、はっきりとしている事がある。それは、


我々の未来は、自分自身の無限の選択肢と、自分以外の無限の存在(外的要因)からの影響によって変化する



ということ。そして、


私たちは、自分自身の無限の選択肢や外的要因の影響は、到底認識できるものではない


ということだ。



私たちは、常に無限の選択肢の中から、特定の選択をしている。また、無限の外的要因に影響も受けている。

――しかし、残念ながら、普段の私たちは、自分に選択肢が無限にあることや、無限の外的要因に影響を受けている等、考えもしない。(もしくは子供っぽくて苦笑するだけ)。だが、この前提は、考えないのではなく、人間の能力を大きく超えたことなので、考えることができない、と言った方が正確であろう。


……それなのに、毎日があまりにも同じような日々で退屈している人がなんと多いことか(くたびれたスーツを着たサラリーマンや、同じスーパーに通い続ける主婦の皆様に限定されない)。

我々の知り合いの多くが、己の人生にマンネリ感を抱いてしまう理由の一つとして、毎日無限の選択肢を突きつけられ、無限の外的要因に影響を受けているという前提を忘れているからだと思われる。(何かの歌で指摘されているように)




――今回の出来事も、私自身が無限の選択肢からたったひとつを選んだ。そして、無限の要因に影響を受けた。結果、バスに乗り遅れたのである。当然、ちょっと違う選択肢を選んだり、私がコントロールできない「向こう三軒両隣りの誰か」や「他人(もしくは他人の他人)」のささいな言動の変化によって、大きく影響を受けたりしながら。



だから、今回の

ルート1とルート2のどちらかを歩めば人生が変わっていた


という、当初の私の反省は、自分の人生の多様さのほんの一面しか捉えていないことになる。もっと正確に言うならば



無限のルートの中からたった一つのルートをすすんだ。その先にはさらに無限のルートが立ちはだかり、さらにその向こう側にはルート無限が存在した。そのルートは一度も交わることのない、たった一つの未来へと私を導いた。どこか一点でもルートを変えれば、人生が変わっていた。



ということができよう。繰り返すが、無限のルートが存在する理由は、


我々の選択肢が無限であるから。また、無限に存在する外的要因によって、選んだルートの結果が大きく左右されてしまうから。



ということになる。


だんだん話がややこしく感じられてきたかもしれない。そこで、私が言いたいことを簡単にイメージできるよう、次の写真を見てほしい。



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まあ、どこにでもある樹ですね。でも、樹というものは私の現時点での人生観を実に美しく表してくれる。

一度も交わることなく広がって行く枝の中で、私たちはたったひとつの枝先にしか到達しえない。しかし、我々には選ぶことのなかった枝先に到達していた可能性もあったはずである。ただ、ちょっとした気まぐれや、誰かの言動に無意識に影響を受けたことで、幾度となく進路変更が生じてしまったのである。




――なお、この未来がわからない、という前提により、私は必然的に


自分(もしくは他人)の未来は予測不可能である


という考え方に到達できる。だって、無限の自分には選択肢があるわけだし、どの選択肢を選んでも、外的要因に影響を受けてしまい、想定する未来とはずれた未来へと到達してしまうのだから。

ちなみに、この考え方にいたると、次のような良い面がある。たとえば、私が仮に何か失敗したり後悔するような言動をしてしまったとしよう。この結果、自分の未来に対して悲観的になってしまう場合もあるかもしれない。だが、上記の考え方をもつことで、


未来を自分が悲観的に考える等、実に生意気な考え方だ。未来のことなど何ひとつ正確にとらえられない私が、自分の未来が悲観的だ、などということが分かるわけがない。


と思うことができる。しつこいくらいに繰り返すが、我々は常に予想できない未来へと到達しているのである。(後知恵でそうなることがわかっていた、というようなことはいくらでも言えるが)



……ところで、人によっては、


未来がわからないならば、自分の言動を反省したり、目標を立てたりすることは、無意味なことなのではないか?


というようにとらえる人もいるかもしれない。とても鋭い指摘だと思う。……なお、この指摘に対する現時点の私の考え方としては、


反省や目標設定は無意味どころか、とても重要な行為


だと思っている。紙幅の都合上、このことについては説明しないが、その理由を一言で表すと、


反省や目標設定したからといって未来が良くなるとはかぎらない。だが、反省や目標設定は、未来をよりよくするために人間ができる数少ない対抗策であるから


だ。このことについては、また別の機会に詳細に記すことにしよう。(多分)



……なお、未来は決してわからない、というこの考え方には悪い面もある。

しばしばウツクシキ未来予想図を描きたがる私たちは、未来に対してはっきりしたことを何ひとつ言えないことに苛立たしく感じる場合もあるだろう。特に他者と未来を考える時に、この悪い面が浮き彫りになる。

たとえば、彼女に対し、自分たちの未来についてロマンティックな事を何ひとつ言えなくなってしまう。このことは、彼女に対して

はっきりしないヤツ

に映ってしまうだろう(実体験)。

また、とある成功に対し、仲間たちが心の底から喜びを分かちあっていても、「未来はどうなるかわからないから、あまり浮かれてもしょうがない」と思ってしまいがちになる。これは、仲間からすれば

冷めたヤツ

と映るかもしれない。(実体験)


……でも、今のところ、私はそれでいいと思っている。ロマンティックな誓いができなかったり、仲間との勝利の美酒が飲めなくても、私は

何ひとつ確信が持てないのが未来である


と思っていた方が前向きに生きられる気がしている。……これぞドッチツカズの精神の到達点である。まあ、考え方は人それぞれなので、私の考え方を押しつけることはしない。


――というわけで、今回のバス乗り遅れる出来事は、今や自分の人生観を考える教材となってくれた。乗り遅れた当時は歯がゆい思いもしたが、今では有意義な時間を過ごさせてくれたことに、感謝の念すら覚えていいる。……本当に、人生は何が良くて何が悪くなるのかなんてわかったものではない。まあ、将来、この考え方が変わってしまうかもしれないですけどね。





……以上、今日はこれにておしまい。……本当はもっと書きたいことがあった。また、もっと推敲を重ねたかった(本当に書き散らした形になってしまった)。

だけど、これらの欲求を満たそうとすると、仕事やプライベートに支障が出てしまうほど時間と体力を使ってしまうので、本日はこれにて失敬。



最後に、長すぎたお詫びとして、社員寮のベランダでのほほえましい光景をどうぞ。


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今日は、彼らのじゃれあっている声で目覚めたのでした。なんとも平和的(くすくす)。でも、今日の私は胃腸の調子が悪かったため、午後まで寝てました。……別にストレスのせいじゃありませんよ。(多分)







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